社団法人 北海道ビルメンテナンス協会
地区協活動報告
平成24年8月7日

「経営セミナー」開催報告

 7月31日(火) 13:30より、ビルメンテナンス会館において会員企業37社76名が参加し、ビルメンテナンス業界のあるべき入札制度の実現に向けて ~公契約条例について考える~ と題し、札幌地区協議会主催の「経営セミナー」が開催されました。
 第1部では、「経済政策論」並びに「公共経済学」をご専門とされ、月刊誌で公契約条例の問題点について言及されている(公財)はまなす財団の「小林好宏理事長(北海道大学名誉教授)」をお招きし、90分間ご講演いただきました。講演のなかで小林理事長は、ワーキングプアをなくそうという札幌市の考えは理解できるものの、「なぜ今、公契約条例なのか」、「政策の優先課題は何か」を考えていく必要性があるとして、以下の見解を示されました。
  1. 「北海道が全国に比べて低賃金である」という指摘は、東京をはじめとする3大都市圏を含んだ加重平均(737円)との比較であり、最低賃金(705円)は47都道府県中、上から14番目であり、地方圏では広島に次いで高いということも正確に認識する必要がある。
  2. 札幌市の公契約条例の対象となる事業と同様のものは多数あり、たまたま対象事業に従事した社員だけが高い賃金を受け取ることは同一労働・同一賃金の原則に反しており、問題である。賃金格差が生まれるという業界の指摘はその通りである。
  3. 労働者の賃金や労働環境を改善することは重要だが、企業の安定経営とのバランスが大事である。
  4. 賃金を引き上げるには、企業の余力も大事だが、景気が回復し労働需要が増大することが必要である。労働需要が増えれば、賃金の上昇傾向も生まれる。これは経済の常識である。札幌市が今日のような状況のもとで最優先すべき施策は、まず景気刺激に役立つような施策の展開である。
 第2部では、北海道協会の「岡田 知己副会長」、「大塚 彰経営研究委員長」、札幌地区協議会の「川口 孝志会長」にご登壇いただき、会員との意見交換会を実施しました。
 まず、岡田副会長から、市の発注する清掃業務等において、対象業務に従事する者と対象外業務に従事する者との間に賃金格差が生まれ、不公平感が生じる点に焦点を当て、「公契約条例(案)に対する当協会の考え方」をご説明いただき、併せて札幌市に対して要望する「平成25年度入札に向けての要望(案)」について解説いただきました。その後、会員からの質問や意見を頂戴しながら、会員企業と協会役員との意見交換会を進行しました。大塚委員長からは、札幌市とのこれまでの対話プロセスについて詳しく説明をいただき、今後も協会として入札制度の改善を前面に押し出して粘り強く交渉を続けていく旨のお話をいただきました。川口会長からは、公契約条例の廃案に向けて会員企業との協力体制を固めていきたいと投げかけをいただきました。40分余りの短い時間でしたが、会員企業の関心も高く、熱心な質疑応答が展開され、会員企業にとって公契約条例の問題点を再認識する機会になるとともに、協会役員にとっても会員企業の「声」を直接聴く絶好の機会になりました。
 セミナー終了後のアンケート結果では8~9割の参加者から「よかった」とのご回答をいただき、入札要望や公契約問題についてもたくさんのご意見をお寄せいただきました。道協会とも連携を図り、今後の要望活動に活かしていくとともに、次年度以降の経営セミナーの参考にしてまいります。
 

札幌地区協議会「経営セミナー」 川口孝志会長による開会挨拶札幌地区協議会「経営セミナー」 第一部:小林理事長によるご講演
札幌地区協議会「経営セミナー」 講演中の会場風景札幌地区協議会「経営セミナー」 講演中の会場風景
札幌地区協議会「経営セミナー」 第二部:意見交換会札幌地区協議会「経営セミナー」 会員企業による意見表明
札幌地区協議会「経営セミナー」 会員企業による意見表明札幌地区協議会「経営セミナー」 会員企業による意見表明


Copyright